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○　ぶんぶん気まぐれフォトルーム

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◇本日のフォト　タイトル『あたたかいまなざし』▼
http://homepage1.nifty.com/jyk/js2/bbp002.html


この写真は私が撮ったものではありません。
実を言うと、誰が撮ったか、わからないのです。

１０年前のことです。
私はその頃、専業主婦をしていて、のんびりと家事をしながら
学校から帰る娘を待っていました。

「ただいま！」
小学２年生になったばかりの娘は、日なたの匂いをさせて帰ります。
その日は手に大判の写真を持ち、「ん」と私に差し出しました。

娘の写真です。冬の寒い朝、登校する姿です。

娘の通う公立小学校は「ゴミを拾いながら登校する」決まりがありました。

写真の娘はゴミを拾い、私が持たせたビニール袋にそれを入れ
「やれやれ」というふうに腰を伸ばしています。

手がかじかんで、ゴミ拾いも一苦労だったのでしょう。

「誰にもらったの？　この写真」と聞くと、娘は答えます。

「さっき帰る途中で知らないおばさんがくれたの。
　ピンクのランドセルだから、これきっとあなたよね、って」

その年の冬は関東にしては珍しく大雪が降りました。

朝、雪景色を撮ろうとした近所の女性が、
たまたま登校する娘を見て、ふとシャッターに納めたのでしょう。

現像したらよく映っていたので、大きく焼き直してくれて、
いつか見かけたら渡そうと思って、気にかけてくれていたのでしょう。

この写真、好きです。

目の届かぬ場所で、娘がちゃんとがんばっている姿を知ることができたし、
その娘の姿を知らない誰かがちゃんと見ていてくれる。

あたたかい写真です。

その後、私たちにはいろいろなことが起こり、その土地を離れ、
何度も引越をしましたが、この写真は必ず見えるところに貼っています。

疲れたり、心細くなると、これを眺めます。

「だいじょうぶ」と言ってくれているような気がするのです。


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